胆のう炎について

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胆石・胆のう炎について

 肥満の方や40~50歳代は胆嚢炎になりやすいと言われています。その原因のほとんどは胆嚢結石によるものです。現れる症状は、腹痛、吐き気、発熱などが主です。

胆嚢の機能と構造

まず、肝臓から消化酵素である胆汁が分泌されます。その胆汁は一度胆嚢の中に濃縮して貯蔵されます。そして食事をした際などに、胃から十二指腸に食べたものが流れてきて、それが刺激となり胆嚢が収縮して胆汁が十二指腸内に排出され食物の消化を助けます。この胆嚢の収縮が胆石の痛みに大きく関わっています。

胆嚢結石症とその原因

胆嚢結石症とは胆嚢の収縮機能低下や胆汁うっ滞により胆嚢内に結石を作ってしまうために生じる様々な症状をいいます。胆石を持っていても無症状で経過する方も多いですが、胆石が胆嚢管に詰まってしまうと胆汁の流れが妨げられ胆汁中に細菌が繁殖し胆嚢炎を発症してしまうことがあります。胆嚢炎の症状としては、上腹部・右季肋部の痛み(背中や肩にも痛みを伴うことがあります)、発熱、黄疸などが挙げられます。胆嚢炎を放っておくと胆嚢が破れてしまい、胆汁が腹腔内にまき散らされ腹膜炎を発症してしまう危険性があるため早急な治療が必要となってきます。

手術方法

胆嚢結石症の治療については、内科的治療と外科的治療があります。
 胆嚢炎では、原則として手術的に胆嚢摘出することを前提とした治療を開始します。黄疸がある場合や状態が悪い場合では、一時的な胆嚢ドレナージを行う場合もあります。胆嚢炎の基本的な治療は、胆嚢を取り除く手術治療です。
 手術方法は大きく分けて腹腔鏡下手術と開腹手術 に分けられます。当院では、適応外でなければ基本的には腹腔鏡の手術を標準的な外科治療としております。


腹腔鏡下胆嚢摘出術
皮膚切開線は適時(基本的には3-4か所)置き手術を行います。
最後に胆嚢を取り出すため臍部の皮膚切開を一番大きくとります(約2~3cm)。その他の傷に関しては、約0.5-1cm程度になります。
腹腔鏡手術の適応外
① 上腹部の手術歴があり強固な癒着が予想される。  
② 胆嚢の炎症が高度である。
③ 心機能低下、肺機能低下など全身状態が不良である。

適応外の患者様は通常、開腹手術になります。また腹腔鏡手術から開腹に移行する率は4-5%程度です。

よくある疑問・質問

○胆嚢を摘出しても今後の生活に支障はないか?
胆嚢の役割は、肝臓で作る胆汁を一時貯蔵し濃縮することです。脂肪を含んだ食物が十二指腸に来ると収縮し、濃縮胆汁を十二指腸に出して脂肪を消化する仕組みとなっています。胆嚢を切除すると胆嚢の機能はなくなり、直接十二指腸に流れるようになりますが、体が慣れるまでは便が緩くなる方もいますが、実生活上は問題ありません

○胆嚢摘出後の食事に関して
術後は基本的には食べてはいけないものはありません。ただ、脂肪分の多い食事をした際には、人によっては下痢をしたりすることがあります。
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