大腸がんについて

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大腸がんについて

 大腸癌は食生活の欧米化に伴い増加の一途をたどっております。女性においては、大腸癌死亡は全悪性新生物による死亡のなかで最多、男性においても肺癌、胃癌に次いで3番目であり、現在さらに増加の傾向を示しております。非常に一般的な癌となってきています。
 発生する場所は比較的肛門に近いところに多く、6~7割が直腸やS状結腸にできます。
 大腸癌の症状としては血便や排便異常(便秘や下痢、便が狭くなる)、貧血などがあり、このような症状がある場合には大腸の検査を受けることが望ましいです。早期大腸癌では、ほとんど症状はありません。
 また市町村や職場の健診で行われる便潜血検査は専用の容器を用いてご自身で採便し、便に血液が混じっていないかどうかの検査を行なうものです。大腸がんによる死亡を減少させるという検討結果がありますので、積極的に受けていただくことが大事です。便潜血陽性の方のうち3~5%大腸癌、2~3割に大腸ポリープが発見されるという検討結果があります。
 早期癌の一部と2期3期の進行癌に関しては、手術療法を行います。手術療法では腫瘍を残すことなく確実に切除することが大事であるため、各種検査で切除範囲を明確にし、安全かつ十分な切除範囲を決定しています。特に最近では検査法の進歩により、より正確な術前の腫瘍存在部位の診断、腫瘍の深達度やリンパ節転移の有無を判定しています。

 そして、大腸がん研究会発行の『大腸癌治療ガイドライン』に基づいて、最適な手術法・切除範囲を選択し患者様に提供しています。

 手術療法では、従来の開腹手術だけでなく、腹腔鏡手術や経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー等の低侵襲治療を採用し、術後の疼痛(痛み)の緩和、手術侵襲を軽減し、『患者様にやさしい医療』を提供できるよう日夜努力をしております。

腹腔鏡下大腸切除術

 カメラ、手の代わりとなる器具を挿入するために直径5~12mmの孔(ポート)を5か所挿入して手術を行います。ポートの創部は通常の開腹の傷より非常に小さいため、整容面や術後の回復の早さにおいて優れています。腹腔鏡手術後の経過は翌日より飲水、食事摂取開始しており、入院期間は全体で7~11日程度です。

下部進行直腸癌の治療

 肛門に近い直腸癌は、小骨盤という狭い空間に発生することや、周りを重要臓器(後側は仙骨、前側は男性では膀胱や前立腺、女性では子宮や膣)に囲まれていることもあり、結腸癌とは異なった治療の工夫が必要です。肛門に近い下部直腸癌の治療においては、局所再発を抑制するため、また自然肛門の温存を図り永久人工肛門を回避するため、術前に抗癌剤治療を施行し、その後に根治手術を施行しております。また、膀胱機能および性機能を温存するための神経温存手術を行っています。

術後のフォローアップ

 大腸癌の手術後にはだいたい5年にわたって、定期的な通院・検査を受けることが大事です。これは、転移を早めに発見するために行っています。やはり進行していないうちに発見される方が治療成績が良いためです。

参考動画

以前に、大腸がんについて解説した動画です。

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